22年11月にリリースされた、ChatGPTという対話形式で回答が出てくるAIチャットが話題になっているので、早速、簡単な労務相談で使ってみました。

ChatGPTとは何ですか? https://dic.nicovideo.jp/a/chatgpt 

ニコニコ大百科

文章では説明しにくいので、ChatGPTの実際の反応の速さと、回答の精度を動画に撮ってみました。(チャンネル登録もよろしくお願いしますw)


リリースから3か月にも関わらず、なかなかの精度

見ての通りChatGPTは無難な回答をだしてきますが、ちょっと待ってください。
この動画は2023年1月下旬に撮影したものです。2022年11月にリリースされた製品です。リリースから3か月ということを踏まえて考えると、それなりの精度を出してきています

Googleと比較して何がすごいか?

ちなみに、ChatGPTがGoogleと比較して何がすごいか?ということも書きたいと思います。

Googleに代表される検索エンジンは、該当しそうなウェブページを紹介して「あとは自分で読んでください」ですが、chatGTPは、話し言葉で質問ができ、検索結果を要約した文章で表示してきます。なので、「小説のあらすじを考える」などクリエイティブな質問にも回答が来るということが特徴です。

社労士いらず?ChatGPTは士業の脅威となるか?

近い将来、クラウドのHRソフトにChatGPTが実装された日を想像してみてください。

  1. 申請はソフトの電子申請を使い、
  2. 分からかったらChatGPTに質問しながら作業を行う。
  3. 労務相談もChatGPTででき、企業内で完全セルフサービス。

という世界も、それほど夢の話ではありません。

「手続だけを一生懸命」「法律の条文だけに詳しい」という社労士であると、ChatGPTは結構な脅威になりそうです。

マイナンバーとスマホの角度からも、社労士不要論?

ちなみに少し視点を変えてみましょう。マイナンバーカードのアプリ化や、クラウドHRの浸透という角度からも、社労士をはじめとする手続代行業にとって脅威になりえます。

近い将来の採用~入社までの流れを考えてみてください。

  1. 内定が出たら、
  2. 企業のクラウドHRシステムから、マイナンバーアプリが入ったスマホあてに内定通知書と労働条件が送られてくる、
  3. 内定者が「内定承諾ボタン」をクリックすると、
  4. 年金健保データが行政機関に送付され手続が完了。その後、
  5. マイナンバーアプリに健康保険証のデータが登録される

という、電子デバイス上で、会社と本人の間で社会保険関係の手続きが完了してしまう時代もくるかもしれません。いやたぶん来るでしょう。

マイナンバーは、個人の識別・社会保障・税務上の情報という目的で導入されていますので、「直接」「全部」「直ちに」という流れは止まらないと思います。

このようなことになると、そこには社労士が手続代行をするという余地が無くなってしまいかねません。その中で、「専門家としてどうやって価値をだしていくのか?」は考えていくことが求められるに違いありません。

「脅威」は裏を返せば「機会」

「AIチャットで労務管理のことが相談できてしまうと、私たちは不要になるのではないか?」と、脅威に思うかもしれません。

しかし、これまでも「知識格差でメシが食えた→インターネットと検索エンジン登場(脅威)→要約力でメシを食う→chatGTP登場→?」というように、うまくテクノロジーを利用できると考えれば、AIチャットの登場は素晴らしい機会になります。いずれにせよ、専門家としてチャットAIの対策が必要と思います。

もちろん、ChatGPTが士業の業務にとってかわる「魔法のAIロボ」になるということは無いと思います。しかし、士業としての事業展開を考える際の大きなポイントになりそうです。

(おまけ)ChatGPTで遊んでみた

「社労士事務所の面接時の志望動機を考えて欲しい」「社労士試験をテーマにした青春ストーリーを考えて欲しい」の2つのテーマをChatGPTにお願いしてみました。

「社労士試験の受験をテーマにした青春ストーリーを考えて」

受験資格要件が微妙に間違っていますが、まぁいいでしょう。ちなみに税理士試験でやっても、同じような”あらすじ”になります。

社労士事務所の採用面接時の志望動機を考えて

志望動機は、履歴書に書かれていそうな内容が出てきました。このレベルの履歴書で応募しては、一昔前のネットの記事で「卒業論文をコピー&ペーストした」というような再来が起こるかもしれません。

履歴書を読み飽き、履歴書に食傷気味の採用担当者から「AIチャットロボットに書いてもらった」と評価され、自分自身で考え自分なりの言葉で表現できない応募者は、何社応募しても面接に進めないか、履歴書不要の仕事にしか巡り合えないような、阿鼻叫喚な世界が待ち受けているかもしれません。

主体性、反前例踏襲、忖度しない、脱ハウツー依存が叫ばれる世の中ですので、ある意味、世の中が求める世界になるのかもしれませんが、スーダラ節的な「サラリーマンは気楽な稼業」ではない厳しい世の中が続きそうです。